どうして咬むの?犬の甘咬み
あじな動物病院行動科が解説する、愛犬の「甘咬み」に対する原因と具体的な解決ガイドです。愛犬との楽しい遊びを妨げる甘咬みの悩みに対し、単に叱るのではなく、犬の習性など行動学的知見に基づいたアプローチを提案します。
解決策の核心は、人の手と犬の歯の距離を物理的に離す「環境整備」にあります。身近な素材であるフリースを活用し、安全で十分な長さを持つ「長いオモチャ」を手作りする方法を詳しく解説。この手法により、犬が誤って人の手を咬むリスクを最小限に抑えながら、遊びを通じた正の強化によって「オモチャを噛めば楽しく遊べる」という行動変容を促します。科学的根拠に基づき、遊びの質を改善することで、愛犬との信頼関係を深め、犬と飼い主双方のQOL向上を目指すための実践的なノウハウを紹介しています。

愛犬を優しくなでたい
愛犬と楽しく遊びたい
そんな飼い主さんを悩ませるのが、犬の甘咬み*です。
愛犬に咬まれたら、痛いだけでなく、悲しい気持ちになりますよね。
*「甘咬み」人や動物など生き物をかむ場合
「甘噛み」生き物ではなく、物をかむ場合
甘咬みをされずに遊ぶには、どうしたらいい?
「愛犬と遊ぼうと思っても、オモチャじゃなく手を狙って咬んでくる」
こうしたご相談は、犬種、年齢問わず、幅広く寄せられます。
そんな甘咬みに悩む飼い主さんに、あじな動物病院行動科では、
まず、「家にあるオモチャを長くしてください」とお話しをします。
オモチャと人の手の距離を離しましょう
オモチャを手に持つと、犬の歯と人の手の距離が近くなるため、手を咬まれる確率が高くなります。
このため、犬が人の手ではなくオモチャを噛めるように、オモチャを長くしましょう。
オモチャを長くする方法
フリース*で、十分な長さの三つ編みロープを作り、そのロープにオモチャを結んで、犬が噛んで千切れても危なくない、安全で長いオモチャを作ります。

*犬が紐状のものを飲み込むと、お腹の中で腸にからまり、開腹手術が必要な事態を招くこともあるため、大変危険です。フリースは犬が咬みちぎっても紐状に裂けないので、比較的安全に使える材料です。
長いオモチャの作り方
① フリースの三つ編みロープを作る
・フリースを幅約3cmの短冊状に切ったものを、三本用意します。
・三本で三つ編みを編んで、フリースの三つ編みロープを作ります。
・長さは、手に持って立ち上がった時に、フリースの三つ編みロープの端が床に30cmくらい垂れているくらいが目安です。
②作ったフリースの三つ編みロープに、オモチャを結ぶ
長いオモチャでしっかり遊ぼう
できあがった長いオモチャを使って、心ゆくまでしっかり遊んで、犬が飼い主さんと一緒に遊びたい気持ちを満たしてあげましょう。
犬は、私たち人間と楽しい遊びを通して、信頼関係を築いていく動物です。
長いオモチャで楽しく遊べるようになったら、犬は、オモチャを噛むと遊んでもらえることを、遊びを通して学んでいきます。
よくならないときは、プロに相談しましょう
長いオモチャでしっかり遊んでも、甘咬みが減らなかった場合やなくならなかった場合は、最寄りの教室を探して、プロに相談しましょう。
あなたとあなたの愛犬との暮らしが
今よりももっと豊かで愛おしいものになりますように

参考文献・出典
こころのワクチン 村田香織
「困った行動」がなくなる犬のこころの処方箋 村田香織
CANINE ENRICHMENT FOR THE REAL WORLD Allie Bender & Emily Strong 著
この記事のタグ:
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この記事の監修:
中西 薫(なかにし かおり)あじな動物病院 行動科代表
【専門領域:行動科学の統合的アプローチ】
応用行動分析学(ABA)、動物行動学、脳科学、遺伝学、エピジェネティクス、栄養学、獣医学、医学など、多角的な科学的知見をベースに、犬の行動問題を紐解く専門家。
「攻撃行動の治療家」として、科学的根拠に基づき、行動変容および、診療科との連携のもと行動治療を行う。
動物と飼い主、双方のQOL(生活の質)を最大化することを使命としている。
行動の背景となる学習の構造については、
犬の行動が変わる仕組み:行動の結果と学習の構造 にまとめています。


