この記事では、犬同士が全身の動きを用いて意思疎通を図るコミュニケーション方法であるボディランゲージ(Body language)、いわゆる「犬語」について記述しています。ロボット犬を用いた研究事例を交えながら、尾の形状や動きといった視覚的な情報が、犬同士の関りにおいてどのような役割を果たしているかを紹介します。
人間が言葉を用いるように、犬たちはボディランゲージという独自の伝達手段を駆使して感情や意向を伝えています。この記事では、犬語が種として備わっている特性であることを踏まえ、犬という動物の性質に基づいた適切な相互理解を深めるための知見をまとめています。
When researchers made a robot dog that could have either a short stubby tail or a long (normal) tail, they found the tail made a difference to how other dogs behaved. With the long tail, other dogs approached the robot when it wagged in a friendly way and stayed away when its tail was still and upright (a threat signal). But when the robot dog had a stubby tail, dogs approached cautiously as if they were not sure whether or not its intentions were friendly, regardless what the tail did.
研究者たちは、異なる尾を持つ二種類のロボットの犬を作りました。
短くてずんぐりした尾を持つロボット犬と、長い(普通の)尾を持つロボット犬です。

この二種類の尾を持つロボット犬を使った実験で、犬達がロボット犬に対してどう振る舞うかがロボット犬の尾によって変化することを発見しました。
長い尾を持つロボット犬の場合、その尾が友好的に振られている時は、犬達はロボット犬に近づきました。

そして、尾が静止し高く掲げられている(犬にとって脅威となるサインです)時は、ロボット犬に近づこうとしませんでした。

しかし、短くてずんぐりした尾を持つロボット犬の場合はその尾がなにをしているかに関わらず、犬達はまるで、ロボット犬が友好的かどうか判断しかねるという様子で、ロボット犬に注意深く近づいたのでした。

Wag, THE SCIENCE OF MAKING YOUR DOG HAPPY
Zazie Todd
P11
犬が何を思っているかは、彼らの本当の気持ちを知りたいと切望する私たちにとって、最大の関心ごとといえるでしょう。
人間の言葉を話すことができない彼らの気持ちを出来るだけ正確に理解するためには、今のところ(*)、私たちは彼らの言葉である「犬語」を学ぶしか、方法がありません。
がしかし、この「犬語」がなかなかに複雑難解で、ちょっとやそっとで読めるようになるものではないのが悩みどころです。
(*AI人工知能の発達により、将来的には犬語の自動翻訳機が登場するかもしれません。現在は開発に向けて、たくさんの犬の仕草や体の動き、鳴き声を、その状況とともに集積している段階だそうです。そういえば、少し前に、声から犬の気持ちを推測する機械が流行りました。中西は未体験ですが、皆さんは体験されましたか?)
犬たちが生まれながらに備えているコミュニケーション能力である「犬語」は、Canine Body Language(ケーナイン・ボディランゲージ)と、アニマルビヘイビアの世界では呼ばれます。略してCBL(またはBL)です。
犬はオオカミと共通する祖先を持つイヌ科の動物であり、その遺伝子もたったの2%しかオオカミと異なりません。
オオカミたちは、血縁関係のある同種動物(つまりオオカミ)と家族の群れをつくり、狩りをして自然界を生き抜きます。これを英語で、survive、と表します。
見える距離、つまり、すぐ近くに仲間がいるため、「見る・見せるコミュニケーション」(視覚コミュニケーション)が、種の主なコミュニケーションとして採用されている動物です。
見る・見せるコミュニケーションとは、体の部位(body parts)を動かして体の動き(body movement)を作り、その動きを相手に見せ、自分のメッセージを送るコミュニケーションのこと。
また同時に、見た相手も同じく体の動きを作り、相手に見せて返すことで、双方向の会話 ⇆ が成り立ちます。
私たちが愛してやまない犬たちも、イヌ科の例にもれず、この見る・見せるコミュニケーションを主たるコミュニケーションとして用います。それがいわゆる、CBL、犬語と呼ばれるものなんですね。
見る・見せるコミュニケーションである、CBL(犬では犬語)は、オオカミも犬も同様に、その動物種に生まれついた時から備わっている能力であり特性で、その動物に生まれた後に変更することは出来ません。
ですから、愛する犬の気持ちを理解したいときに、私たち人間が犬語を話せはしなくても、犬語というものが在ることを知っていて、ある程度知識がある、ということは、犬が犬として幸せに生きていくためには必要だし、何より犬たちにとって嬉しいことだと思いませんか?
だって、犬たちの言い分って、たぶんこんな感じだからです。
「お父さんお母さん、わたし犬語がいちばん得意だし、しっくりくるんです。だって犬だから♡」
行動の背景となる学習の構造については、
公式解説として、以下のページにまとめています。
犬の行動が変わる仕組み:行動の結果と学習の構造
https://ajinavc-behaviorsec.com/knowledge/learning-mechanism/

