こんな犬のトイレのお悩みはありませんか?
子犬の頃はできていたのに外でしか排泄しなくなった、あるいは特定の排泄物だけ外でする成犬でも、適切な手順を踏めば室内トイレを再習得することは十分に可能です。本記事では、成犬が自ら室内トイレを選ぶための必須条件と、学習の鍵を握る「ごほうび」の戦略的な活用法を解説します。肝心なのは、犬にとって最も価値の高い一番の大好物を報酬に選び、それを「トイレ以外では与
えない」という管理の徹底です。また、成功の瞬間に報酬を提示できるよう、ごほうびの容器をトイレのすぐ近くに備えることも欠かせません。介入の方向性としては、報酬の価値を最大化する環境整備を行い、室内排泄が「特別な利得」に繋がることを学習させる正の強化を軸とします。老化や介護を見据え、成犬の学習理論に基づいたアプローチが、人と犬双方の負担を軽減します。
「子犬の頃は、室内でもトイレができていたけど、だんだん外でしかしなくなった」
「おしっこはトイレでするけれど、ウンチは外でしかしません」
トイレのお悩みは、子犬だけでなく、一歳を過ぎた成犬でも、数多く寄せられます。
成犬に、おしっこもうんちも室内トイレでするように教えるためには、どうすればいいのでしょうか?
成犬のトイレトレーニングとは
「尿意や便意を感じたら、室内に作ったトイレに行き、その上で排せつをする。
そうすると、飼い主さんにほめてもらえて、欲しいごほうびがもらえる」
このことを、飼い主さんが教えて、犬が覚えるということが、成犬のトイレトレーニングです。
トイレトレーニングをするための条件
トイレトレーニングは、飼い主さんが教えたことを、犬が覚えることができなければなりません。
ですから、
①犬が理解し、覚えることができる年齢であること
②犬が自分自身で排せつをコントロールすることができる健康体であること
このふたつを満たしていることが、成犬のトレーニングをするための必須条件です。
最も大事なものは「ごほうび」
トイレトレーニングで教えて、犬に覚えてもらうために最も大事なものは、「ごほうび」です。
犬ががんばった結果、もらえるごほうびが、犬にとって特別で価値のある、欲しいものでなければなりません。
「ごほうび」の選ぶときの3つのポイント
①犬の一番の大好物を、トイレのごほうびに選びましょう
②その大好物を、トイレのごほうび以外ではあげないよう、家族全員で徹底しましょう
③他の機会にあげるごほうびやおやつは、トイレのごほうびより価値の低い(好物度合いが劣る)ものにし、全体的にあげる量も減らしましょう
「ごほうび」を置く場所
「ごほうび」は、どこで排泄をしたらよいのかを犬に知らせるための重要な目印です。
犬が室内トイレで排せつしたら、すぐにごほうびをあげられるよう、ごほうびを入れた容器は、トイレの横や上の棚等のトイレのすぐ近くに置きましょう。

※犬が届かないよう、置き場所の高さに注意してください。
「ごほうび」をあげる場所
排せつした後、どの場所で「ごほうび」をもらえるかは、犬にとって一番大きな関心事です。
ですから、
犬がトイレで排せつし始めたら「上手だね〜♡」などと言葉でほめながら、飼い主さんもトイレへ向かいます。
そして、犬が排せつし終わったら、そのトイレの中で、すかさず犬の鼻先にごほうびを差し出します。
こうすることで、排せつ後のごほうびをもらいたいあまり、トイレの手前で排せつしてしまったり、排せつしながらトイレから出てしまったりする失敗を未然に防ぐことができます。

繰り返しトレーニングをしよう
このようにして、繰り返しトレーニングすることで、犬がトイレで上手に排せつできるよう、徐々に導いてあげましょう。
この方法を試しても上手くいかない場合は、最寄りの教室を探して、プロに相談しましょう。
あなたとあなたの愛犬との暮らしが
今よりももっと豊かで愛おしいものになりますように

参考文献・出典
・Perfect Puppy in 7 Days: How to Start Your Puppy Off Right Dr. Sophia Yin, DVM, MS
・犬のしつけきちんとブック「トイレ上手になる」編 矢崎潤
・幸せな子犬の育て方 矢崎潤
・こころのワクチン 子犬に教える、人としあわせに暮らす方法 村田香織
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この記事の監修:
中西 薫(なかにし かおり)あじな動物病院 行動科代表
【専門領域:行動科学の統合的アプローチ】
応用行動分析学(ABA)、動物行動学、脳科学、遺伝学、エピジェネティクス、栄養学、獣医学、医学など、多角的な科学的知見をベースに、犬の行動問題を紐解く専門家。
「攻撃行動の治療家」として、科学的根拠に基づき、行動変容および、診療科との連携のもと行動治療を行う。
動物と飼い主、双方のQOL(生活の質)を最大化することを使命としている

