

行動形成トレーニングの具体的な効果
行動形成トレーニングが素晴らしいことは、なんとなくわかった。
でも実際、愛犬にどんないいことが起こるんだろう?
その声に応えるべく、
行動形成トレーニングがどう愛犬に良いのか、その効果を、
具体的にご紹介します。
身近なものから、奥深いものへ、その効能を余すことなく並べています。
行動形成の世界を、どうぞご堪能ください。
1|愛犬の「暇」を解消する
2|体を動かす機会を作る
3|食事を見直し、体づくり
4|太る、は間違い
5|衝動にブレーキをかける
6|脳の認知機能を守る
7|行動のレパートリーを増やす
8|そして困った行動が解決する
9|飼い主さんをもっと好きになる
10|聴く耳を育てる
11|そして生活が便利になる
12|心の幸福度を上げる
13|恐怖に打ち勝つ力を養う
14|恐怖から立ち直る力を養う

1|愛犬の「暇」を解消する
Boredom-based problem
暇ゆえの問題行動
という言葉が世界にあるくらい、現代の生活では、犬は暇を持て余しています。
素晴らしい頭と体を持て余すと、どうしても、しなくてもいい困った行動をしてしまう。
それが、私たちの愛犬が置かれた状況です。
行動形成トレーニングは、いつでも、どこでも、飼い主さんと愛犬で行えるため、現代を生きる愛犬の「暇」の解消にはうってつけです。
しかも、おもちゃ遊びなどとは異なり、普段使わない頭脳を、めいっぱい使わせてあげることができます。

暇ゆえの問題行動
から、
疲れた犬はいい犬だ
に。
行動形成トレーニングで、愛犬の暇を解消してあげましょう。

2|体を動かす機会を作る
暇を持て余している現代人ならぬ現代の犬は、もちろん運動不足です。
お部屋の中でじっと寝ているだけでは、あっという間に筋力も筋肉も落ちてしまいます。
支える筋肉が弱ると、骨や関節に負担が増して、例えば椎間板ヘルニアなどの関節疾患を起こしてしまうことにも。
行動形成トレーニングは、この現代の愛犬に、室内で動く機会を、いつでも作ってあげることができます。
また、右前足、や、左後ろ足、のように、行動形成トレーニングで意図的に使う体の部分を選べば、普段の生活で愛犬があまり使わない体の部分を、安全に使わせてあげることができます。
運動の機会を作る、
筋肉を刺激して、筋力と筋肉をつける、
動かさない部分を動かす、など、
行動形成トレーニングは、さながら愛犬のホームジムの役割を果たします。
飼い主さんは、専属トレーナーです。


3|食事を見直し、体づくり
行動形成トレーニングと食事がどう関係あるの?
そう思われる方は、きっと多いはずです。
行動形成トレーニングでは、愛犬がして欲しい行動をした時に、褒めて、愛犬が望むご褒美を届けます。
ご褒美は、好物の食べ物でも、好きなおもちゃでも、楽しい遊びでも、愛犬が喜ぶものならなんでも良いのですが、やはり圧倒的に使いやすいのは、食べ物です。
行動形成トレーニングで、愛犬にご褒美の食べ物を用意する際に、飼い主さんは改めて、
「愛犬の好きな食べ物ってなんだろう?」と、考えます。
そして、どんな食べ物が愛犬にあっているのかということも、あわせて考えるようになります。
今まで愛犬にあげていた食事、おやつ、を含め、愛犬に与える食べ物を、今いちどじっくり考える機会を、行動形成トレーニングは作ってくれます。
食べることは、生きること。
行動形成トレーニングは、愛犬の脳と体を養う食べ物を見直す機会を、飼い主さんにもたらしてくれます。

4|太る、は間違い
行動形成トレーニングに限らず、
「食べ物をご褒美に与えるしつけは太る」
と言われることが、よくあります。
ですが、それは間違いです。
ひとつ前の項目でも書いたとおり、食べ物をご褒美として与えるトレーニングは、愛犬に与える食べ物を一から見直す機会を与えてくれるため、食事やおやつも見直され、太るどころか、むしろ愛犬は健康になります。
肥満気味だった犬が、行動形成トレーニングで、食べ物を見直し、適正体重になることだって、めずらしくありません。
もし、それがしつけでもトレーニングでも、愛犬が幸せに暮らすために本当に必要な教育を、褒めてご褒美を与える方法で愛犬に行っていて、食べるご褒美で犬が太ってしまうなら、それは、愛犬の生活や、ご褒美を含む教育のあり方を、いま一度見直してみるサインです。
行動形成トレーニングでご褒美をあげたら、犬が太る?
いいえ、むしろ引き締まったいい体になります。

5|衝動にブレーキをかける
行動形成トレーニングで、愛犬は、欲しい褒め言葉とご褒美を飼い主さんから引き出せる行動はどの行動かを、動きながら考えます。
つまり、脳と体を使います。
この時、脳の中の前頭前野と呼ばれる部分が、よく使われますが、前頭前野は主に、本能的欲求や衝動を理性でコントロールすることを仕事とする、部位です。
愛犬が嫌いなものにイラッとしたり、カっとしたり、
怖いものにドキッとしたり、ハラハラしたり、
不安になってソワソワしたり、
欲しいものに我先に突進したり、それを取られまいと怒ったり、
そういう本能的欲求から、いわば衝動的に起こる行動は、一緒に暮らす私たち人間にとって、正直ありがたくないものばかりです。
もちろん私も気をつけるけど、
もうちょっと怒らないでくれたらな、
もうちょっと焦らないでくれたらな、
もうちょっと怖がらないでくれたらな、
もうちょっと落ち着いてくれたらな。
犬の飼い主さんなら誰しも、一度はそう、願うのではないでしょうか。
行動形成トレーニングは、愛犬に、前頭前野を楽しく使って鍛える機会を作ることで、衝動にブレーキをかけることができるよう、飼い主さんが愛犬を育てることを、助けてくれます。
この前頭前野を楽しく使って培うことのできる力のことを、インパルスコントロール(英語では、Impulse control)と呼んだり、衝動のコントロール、抑制心、などと呼んだりします。
あじな動物病院行動科では、わかりやすく、ブレーキの形成、や、自分の欲求にブレーキをかけられる犬育て、などと表したりしています。
行動形成は、脳に働きかける、トレーニングです。


6|脳の認知機能を守る
ひとつ前の5で、行動形成トレーニングでは、愛犬は、欲しい褒め言葉とご褒美を飼い主さんから引き出せる行動はどの行動かを、動きながら考え、脳と体の両方を同時に使うことを、ご紹介しました。
脳の神経は、使われると目覚めて増えるという、神経新生と呼ばれる特長を持っています。
逆に、使われないと、萎縮してその機能は低下してしまいます。
脳が使われず退化してしまうと、例えば、昼夜の生活リズムがなくなったり、方向がわからず家具の隙間にはまり込んでしまったり、触れ合ったり遊んだりといった意欲がなくなったりというように、日常生活で愛犬ができていたさまざまな活動が、低下したりできなくなったりして、飼い主さんとの生活に支障が出やすくなってしまいます。
この状態を、獣医学では、犬の認知機能不全症(Canine Cognitive Dysfunction Syndrome:CCDS)と呼びます。
脳は使われると、目覚め成長します。
またその時、同時に体を動かすと、さらに成長します。
脳を守り、その機能を守り、最後まで愛犬が愛犬でいられるように助けるには、楽しく脳を使い、同時に体を使うことが、必要です。
この全てが、ご自宅で楽しみながら愛犬と行う行動形成トレーニングで、叶ってしまうのです。
これは、本当に驚きです。

7|行動のレパートリーを増やす
行動形成トレーニングは、愛犬が普段の生活ではあまりしない行動や、自分からはしない行動などを、ご褒美とともに教えて、伸ばすことができます。
このご褒美とともに、というのがポイントで、普段からあまりしない行動や、自分からはしない行動というのは、日常生活ではその行動をするきっかけがなかったり、その行動をしても愛犬にとって良いこと(結果)が起こらなかったりするため、愛犬はその行動をすることがありません。
それに対して、行動形成トレーニングでは、必ず行動に、飼い主さんが褒めてくれて、欲しいご褒美がもらえるという結果が返ってきます。
合図→行動→褒め言葉→ご褒美
随伴と呼ばれる、この関連を、行動形成トレーニングの中で繰り返し経験することで、普段の生活ではあまりしなかったり、自らはしない行動でも、愛犬がその行動を選んで行うように、導くことができます。

そうすると、愛犬が日常生活で選び行う行動のレパートリーは、おのずと増えます。
行動のレパートリーが少ししかない犬と、行動のレパートリーがたくさんある犬では、その犬が感じる幸福の度合いだけでなく、運動量や体の機能など、さまざまなことに差が出てくるのは、ご想像の通りです。

8|そして困った行動が解決する
ひとつ前の7の続きです。
困った行動の解決には、どのような変化が起こるのでしょうか。
愛犬の行動のレパートリーが増える、ということは、困った行動を選択する確率が下がる、ということ。
つまり、これまで愛犬が行ってきた困った行動が、起こりにくくなるということです。
例で考えてみましょう。
室内で、愛犬が暇を持て余しているとします。
飼い主さんが電話で話そうとすると、なんとか自分も飼い主さんにかまって欲しくて、ワンワン吠えます。
そうすると、飼い主さんが困って愛犬に注意を向けることを、これまでの経験から、愛犬が知っているからです。
当然飼い主さんは電話ができないので、愛犬をかまいます。
そして、愛犬の願いは叶います。
この愛犬に、行動形成トレーニングでいろいろな行動を楽しく教えます。
例えば、床に置いてあるおもちゃをくわえて、飼い主さんに持ってくる行動。
例えば、床に置いてあるおもちゃをくわえて、おもちゃ箱に片付ける行動。
例えば、ダイニングデーブルのそばに敷いてある愛犬用のマットに伏せる行動。

いずれも、行動形成トレーニングで、飼い主さんが褒めて、愛犬が望むご褒美をあげることで、教え伸ばした行動です。
そうすると、同じく飼い主さんの電話が鳴った時に、愛犬はどうふるまうでしょうか?
以前は、吠えるしか愛犬に手だてはありませんでした。
ですが、行動形成トレーニングでいろいろな「通用する行動」を教えてもらった愛犬は、吠える以外に、電話している飼い主さんに、おもちゃをくわえて持ってくることもできるし、おもちゃを箱に片付けてみせることもできるし、自分のマットに伏せてみせることも、できるのです。
以前同様に吠えたときは、かまわず、吠える以外の教えた行動をしたら、褒めてご褒美をあげてかまうと、吠えるのではなく、吠える以外の「通用する行動」を愛犬が選び行うようになる。
そして、電話の時にかまって欲しくて吠えるというお困りごとは、解消します。
(※これは、あくまで簡易的な例です。)
行動形成トレーニングで行動のレパートリーを増やすとは、愛犬に「通用する」行動を増やしてあげる、愛犬が選べる手だてを増やしてあげる、ということ。
これが、困った行動の解決に、行動形成トレーニングが欠かせない、大きな理由です。

9|飼い主さんをもっと好きになる
行動形成トレーニングが愛犬に及ぼす良い効果。
もう9つ目ですが、まだまだ続きます。(!)
9つ目は、愛犬が飼い主さんをもっと好きになるという、読んでいるだけで思わず笑顔になってしまう、効果です。
行動形成トレーニングは、「失敗」の存在しない楽しいゲームです。
基本的に、愛犬はどんな行動をしてもかまいません。自由です。
ですが、その中にたったひとつだけ、飼い主さんがして欲しいと願っている行動があります。
行動形成トレーニングは、愛犬がその行動を見つけるゲーム。
楽しくないわけがありません。

その行動形成トレーニングをしてくれるのは、もちろん飼い主さん。
そして、褒めて、欲しいご褒美をくれるのも、飼い主さん。
愛犬が、行動形成トレーニングをしてくれる飼い主さんのことをもっと好きになるのは、自然なことです。
さらに、愛犬が自分に向ける眼差しが変わっていくことに、飼い主さんは行動形成トレーニングをしながら、気づきます。
大好きな愛犬に、さらに愛され慕われると、飼い主さんが愛犬に向ける眼差しにも、さらに愛があふれます。
この相乗効果は、愛情ホルモンのオキシトシンの分泌が、愛犬と飼い主さん双方で盛んになることから、オキシトシンループや、アフェクションループなどと、呼ばれます。
行動形成トレーニングは、まさに「相思相愛」を叶え、深める体験なのです。

10|聴く耳を育てる
行動形成トレーニングで、愛犬は飼い主さんのことをもっと好きになる。
9の続きです。
行動形成トレーニングでは、
「おすわり」 「いいこ」
「お片づけして」 「上手」
のように、合図と、褒め言葉、つまり、その後に愛犬にとって良いことが起こることを愛犬に知らせる音は、すべて飼い主さんの口から発せられます。
私たちが愛犬と送る、慌ただしい普段の生活では、ともすると、愛犬にかける言葉は、「だめ」 「いけない」 「やめて」 「まって」 「こら」 「もう!」、のように、愛犬を制したり、止めたり、注意したり、正したりするものに、なってしまいがちです。
行動形成トレーニングは、この日常を吹き飛ばしてくれます。
飼い主さんの口から、わかりやすく楽しい合図、そして、自分の欲しいご褒美が来ることを知らせてくれる褒め言葉を、頻回にかけられるようになると、愛犬に育つのは、飼い主さんの声に耳を傾けたいという意欲です。
この意欲のことを、あじなでは、「聴く耳」と表現しています。

行動形成トレーニングで、飼い主さんをもっと好きになり、愛犬に「聴く耳」を育てられる。
これほど、素晴らしいことはありません。

11|そして生活が便利になる
9、10に続きます。
行動形成トレーニングで、飼い主さんをもっと好きになり、飼い主さんの声に「聴く耳」が育つと、日常生活はとても便利になります。

例えば、家の中では、物音に吠えるときに、飼い主さんのもとに呼び戻しやすくなったり、何か見つけたものにイタズラしそうなときに、呼び戻しやすくなったり、もちろん、おすわりやふせ、上がって・降りて、入って・出てなどの、場所や姿勢、移動を指示する合図も、愛犬に届きやすくなります。
家の外つまり屋外では、もっと便利です。
散歩中やお出かけ中は、愛犬のリードを握っているため、基本的に手は一本ふさがります。
片方の手で、引っ張ったり暴れたりする愛犬を、止めたり抑えたりすることは、とても大変です。
行動形成トレーニングで、愛犬に「聴く耳」を育てると、名前を呼んだときに、愛犬の意識が飼い主さんに戻りやすくなったり、おすわりやふせ、待ってなどの指示が届きやすくなったりします。
家の中同様に、おいで、上がって・降りてなどの、移動の指示も届きやすくなるので、抱いたり運んだり、時には引っ張ったりといった、物理的な作業も減ります。
加えて、外では、自転車、バイク、小さな子ども、犬など、いつ、どこから、どんな刺激的なものが飛び出してくるか、わかりません。
愛犬が反応しないように、ドキドキしながら過ごしてばかりでは、疲れてしまいます。
外で、呼べば飼い主さんに意識を戻すことがスムーズにできれば、愛犬がそれ以上興奮したり反応したりし続けることを防げ、かつ、愛犬と一緒に移動して距離をとることも、とても行いやすくなります。
このように、行動形成トレーニングは、行動形成トレーニング以外の日常の時間にも、さまざまな良い効果を、もたらします。
ここからご紹介する12、13、14の3つでは、「行動形成トレーニングの威力とは?」でご紹介した内容を、さらに詳しく掘りさげます。

12|心の幸福度を上げる
行動形成トレーニングの威力とは?で、行動形成トレーニングを愛犬と行うことで、飼い主さん自身が愛犬に、
「自分の行動には、自分の欲しい結果を連れてくる力がある。」
つまり、自分の行動には価値があるということを、愛犬に気づかせてあげることができる、と書きました。
自分の行動の価値を知ることは、「自己決定権」や「自己主体性」(英語では、Agency)などと呼ばれ、犬に限らず、すべての動物の心の幸福を守る、動物福祉の観点から、最も重要といっても過言ではない事柄です。
私たちがどんなに愛犬を大事に思い、実際に大事にしても、人間と暮らす犬たちの日々に、犬たちがその意思に基づいて自由に決められることなど、ほぼありません。
愛犬たちは、すべて人が決めた環境とルールの中で、人の手にすべてをゆだね、頼って、暮らすしかないのです。
心の幸福と、それを叶える自己決定権について知ると、意外なほど犬たちの自己決定権が低いことに、改めて驚かされます。
行動形成トレーニングでは、愛犬はやってもいいし、やらなくてもいい、途中でやめても、いいのです。
基本的にどんな行動をしてもいいのです。
失敗もありません。
ただし、欲しいご褒美を、飼い主さんから引き出すためには、あなたのする、どの行動が、その力を持つか、答えを探してみてください、ということです。
これは、「自己決定」の作業以外の、何物でもありません。

行動形成トレーニングは、愛犬が自己決定権を手にして行動する、とても数少ない、貴重な機会なのです。

13|恐怖に打ち勝つ力を養う
12の続きです。
13では、話を、愛犬と愛犬以外の事象のふたつ、で考えます。
ちょっと難しくなってきたので、先に例をあげてご説明します。
私たちは、環境の中に身を置いて生きています。
私たちが自覚し、コントロールできるのは、自分自身。
それ以外のものは、それが物であっても生き物であっても、自分を取り巻く環境であると考える、ということです。
世界には、愛犬と、愛犬を取り巻く環境のふたつが存在する、ということです。もちろん飼い主さんも、愛犬を取り巻く環境に含まれます。
以降は、この前提のもとで、お話しします。
行動形成トレーニングで、愛犬に「自己決定」の作業を行わせてあげると、愛犬は、自らの行動に、自らが望むものを引き出す力があることを、経験して学びます。
行動形成トレーニングでは、飼い主さんが喜んで褒めてくれることや、飼い主さんからもらうご褒美が、愛犬が望み、行動の結果引き出したものにあたりますが、これらはすべて、愛犬を取り巻く環境に含まれるものです。
つまり、行動形成トレーニングで、愛犬は、
「自分の行動には、自分のまわりの環境を、自分が望む方向に変える力がある。」
こう学ぶということです。
自分には何もできない、自分には何も変えられない、という諦めや無力感ではなく、自分には、自分が望む方向に、環境を変える力があると、知ること。
この経験は、愛犬の犬生で不意に現れる、理解不能だったり、不快だったり、恐ろしかったりするものや出来事などを、愛犬がストレスに感じずやり過ごす力を、育て、養います。
専門用語で表すと、ストレス許容量の大きな犬に、
日常の言葉で表すと、驚いたり怖がったりしにくい犬に、
愛犬を育ててあげることができる、ということです。
行動形成トレーニングは、恐怖や不安といったストレスをもたらす出来事を、ストレスに感じず打ち勝てる犬に、愛犬を育てる手伝いをしてくれるのです。

14|恐怖から立ち直る力を養う
13の続きです。
さまざまな出来事が不意に起こるのが犬生ですから、もちろん、すべてを怖がらない犬に愛犬を育てることは、現実的には不可能です。
例えば、経験したことのない酷い雷雨で、運悪く落雷を経験したり、
例えば、急性膵炎など、経験したことのない酷い痛みを感じる病気になったり、
例えば、乗車中、交通事故に巻きこまれたり、
愛犬が酷く精神的なショックを受けることも起こるかもしれないのが、犬生です。
行動形成トレーニングで、
「自分の行動には、自分のまわりの環境を、自分が望む方向に変える力がある。」
と愛犬が学んで、知っていると、つまり、愛犬に「自己決定」の機会が十分に与えられていると、
このような、不意に襲ってくる、理解不能だったり、不快だったり、恐ろしかったりするものや出来事などを、一時的にはストレスに感じたとしても、愛犬が、そのストレスから立ち直り、再び日常の状態に戻る、すなわち、回復することが、より上手にできるようになります。
この回復力は、レジリエンス(Resilience)と呼ばれ、動物の心身、特に心の幸せを守る、動物福祉の世界では、自己決定権(Agency)とペアで語られる、幸福の鍵となる、言葉です。
行動形成トレーニングは愛犬に「自己決定権」を与え、
その結果として、愛犬はより豊かな「回復力」を手に入れる。
これも、行動形成トレーニングの隠された、
しかし偉大な、効果なのです。

行動形成トレーニングの具体的な効果:最後に
本ページを公開する時点で、
科学的根拠に基づく具体的な効果を、14項目にわたって挙げました。
犬と行う行動形成トレーニングが、犬の心身にどのように作用するのか、
科学で解明が進めば、このページの効能も、きっと増えていくでしょう。




