あじな動物病院行動科は、2026年8月より「あじな動物病院行動セクション」へ名称を変更いたしました。

『つり餌』に潜むキケン

この記事では、犬のしつけや日常において食べ物を誘因目的として使う「つり餌」という捉え方を見直し、食べ物の提供と信頼関係のあり方について記述しています。欧米の動物行動学の視点を交えながら、安易に食べ物をつり餌として用いることが、犬と人の心の繋がりにどのような影響を及ぼすかという点に触れます。
食べ物をつり餌としてではなく、報酬として提供することで、犬が自発的に飼い主を選び、頼りにするような関係性を築くことの大切さを紹介すると共に、実際の事例を通じ、食べ物への依存を超えて、犬と人が互いに深い信頼と安心感を持って過ごせるようになるための考え方について記述しています。

“Never feed, give them food.”
という言葉が、動物福祉(アニマルウェルフェア)の発祥の地にして最前線であるヨーロッパやアメリカのアニマルビヘイビアの世界にはあります。
「犬に餌をやる、のではない。彼らに食事を提供する、のだ。」という意味です。

「餌(えさ)」って、犬とお互い幸せに暮らしたい、信頼関係を築き上げたいと願う人にとっては、あまり良い響きを持つ言葉ではありませんよね。
ですが、「餌をやる」とは言わなくても「釣り餌(つりえ)」という言葉が使われる機会は、まだまだ意外なほど多くはありませんか?

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あじな動物病院行動科の中西薫のレッスンにお越しいただいたことのある方、お越しいただいている方はご存知だと思いますが、中西は「釣り餌」をクラスでほぼ使いません。また、中西個人は「釣り餌」を使いませんし、正直に申し上げるときらいです。I definitely hate it.

なぜかと言えば、

「釣り餌」は
1、わんこを心身ともに害することがあるから
2、わんこの学習を邪魔することがあるから
3、飼い主さんとわんこの信頼関係を壊してしまうことがあるから
です。

特に、3つ目は本当に悲しいことです。

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私たちは誰だって、愛犬に頼りにされたい、愛されたい、そして、餌(=食べ物)ではなく、私たち自身を選んで欲しいと願います。
だから、わざわざ愛犬が喜ぶ食べ物をごほうび手に持って、なにかを教えようとしたはずです。

なのにですよ?

食べ物のごほうびをどうやって使い、どうやって合図に切り替えていくか知らなかった、分からなかった、最後まで習えなかった、上手に出来なかった、たったそれだけのことで、愛犬をこんな風に思わないといけなくなってしまうんです。

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「釣り餌をなくせない」
「餌がないとやらない」
「餌がないと出来ない」
「合図を出してもやらない」
「餌欲しさにやっている」
「餌を食べたらさっさといなくなる」
「餌ばっかり欲しがって恥ずかしい」
「餌ばっかり欲しがって卑しい」

これらはあじなのレッスンで、実際に飼い主さんが中西に語ってくださった言葉です。
愛犬をこんな風に思わないといけないなんて、とても悲しいことです。

つい先日、レッスンに通われ始めてから約一年が経過された、とある大型犬の飼い主さんから、こんなメッセージをいただきました。

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このメッセージをくださった飼い主さんが、初回のレッスンで中西に仰った言葉をよく覚えています。

「このこが好きなことが、わからない・・・。食べ物をあげることでしか、このことつながれないんです。食べ物をあげる以外の方法で、このこと関係を作り直したい!」

あれから早一年。
必要なことをひとつひとつ取り組まれ、飼い主さんとわんこは相思相愛となられました。
ふたりとも、お幸せそう♡
よかったです♡ほんとうによかったです♡

“Never feed, give them food.”

釣り餌に潜む危険について考えさせられる、英語の一文のご紹介でした。

行動の背景となる学習の構造については、
公式解説として、以下のページにまとめています。
犬の行動が変わる仕組み:行動の結果と学習の構造

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