犬がインターホンやチャイムに吠えるときに今すぐできる対策
愛犬がインターホンに吠えてうるさくてたまらないから、今すぐなんとかしたい!!!
あじな動物病院行動セクションのレッスンでも、飼い主さんから大変多く寄せられるお悩みです。
この切実なお悩みに、まずは飼い主さんが今すぐできることをご紹介しながら、本コラムを始めたいと思います。
愛犬がインターホンやチャイムの音に吠えるとき、飼い主さんが今すぐできることとその効能を、下記にまとめました。
- インターホンの音量をできるだけ小さくする。→愛犬への刺激をできるだけ小さくしましょう。
- インターホンのメロディを変えられる場合は変えてみる。→知らない音になることで、一時的に吠えが減ったり、吠えなくなったりします。
- 慣れることを期待して、インターホンを必要ない時に頻回に鳴らさない。
→慣れなかったから、現在吠えています。しつこく鳴らすと余計イライラして吠えやすくなり、逆効果です。 - 吠えてはダメとしつけようとしない、叱らない。
→インターホンの音がもっと不愉快な音になってしまう可能性があります。 - お家がシーンと静かな場合は、ラジオ、テレビ、音楽などで、インターホンが鳴ったときの愛犬へのインパクトをやわらげる。
→マスキング、と呼ばれる作業です。お家が静まり返っていると、インターホンの音が鳴り響いて、愛犬もビックリしやすくなります。 - 愛犬が暇を持て余さないように、一日2回以上、各回30分以上の散歩に連れて行く。
→愛犬の暇を解消するには、まず一日2回のお散歩が確実です。 - インターホンに吠えることだけが愛犬の生き甲斐にならないように、愛犬に活動や仕事を与える。
→犬は、何か仕事をもらえないと、勝手に仕事を探してきます。インターホンに吠えることを愛犬が仕事にしないように、食事を探すことを仕事にしてあげると、効果的です。
例、ボール投げやひっぱりっこなどおもちゃで一緒に遊ぶ。食事をコングや紙の空き箱などに入れて与えたり、ノーズワークマットに撒いたりして、宝探しをさせる。犬用知育トイに入れてあげると、頭と体をさらに使えて効果的です。
いかがでしたか?
インターホンに爆吠えする愛犬をなんとかしようと、情報を探しに探して、本コラムにたどり着いてくださったのではないかと思います。ご紹介した内容は、もうすでにどこかで読まれた内容だったのではないでしょうか?
ここからが、あじな動物病院行動セクションの「本当」に治すコラムの始まりです。
犬がインターホンに吠える理由は「犬だから」ではない

飼い主さんが今すぐできることを前章でご紹介しました。
しかしそれだけでは、愛犬のインターホンへの吠えは、ましにはなっても、根本からはなかなか治りません。
「本当」に治すためには、いったいどうしたらいいのでしょうか?
ここで、ちょっと衝撃的な事実をご紹介したいと思います。
すべての犬にとって最初、インターホンの音は、何の意味も持たない「ただの音」です。好きでも嫌いでもない「ただの音」なので、吠える必要がないんです。吠えないんです。
(注、もちろん、インターホンの音が、よっぽど大きな音だったり、犬にとって怪しい音色でない限り、ですが。)
つまり、愛犬がインターホンに爆吠えするのは、「犬だから」ではない、ということ。
愛犬がインターホンに爆吠えするのは、吠えたほうが良いことが起こると、お家で学習してしまったからなんです。
例えば筆者のように、犬の行動の専門家をしている人間が幼い頃から育てた犬は、インターホンにはほぼ吠えません。
吠えるかわりに、「とある行動」をします。
その「とある行動」をした方が、吠えるよりずっと良いことが起こると知っているから。そのように教えてきたからです。
そしてそれは、犬を迎えた当初から教えていれば、さほど難しいことではありません。
「そんなこと言われても、うちの愛犬はもうすっかりインターホンに爆吠えするようになっちゃってるし・・・。」
そうですよね。
でもこれこそが、「本当」に治すために肝心なポイントなんです。
犬がインターホンに吠える行動は教えれば治せる

以下の四つが、前章でお伝えした事実でした。
1、犬にとって最初インターホンは好きでも嫌いでもない、ただの音。
2、犬だからインターホンに吠えるわけではない。
3、吠えたほうが良いことが起こるとお家で学習した結果、吠えるようになった。
4、幼い頃から教えれば、インターホンに吠えないことは、難しいことではない。
私たちの日々の生活に欠かせないインターホンですが、
その音に愛犬が吠えまくって、インターホンに出られない。出ても、まったく聞こえない。会話ができない。
こうお悩みの飼い主さんは実に多くおられます。
このインターホンへの吠えを解決するためにまず必要なことは、ご紹介した四つの事実を知ってもらうこと。
なかでも、
3、吠えたほうが良いことが起こるとお家で学習した結果、吠えるようになった。
これを知って、納得してもらうことが、欠かせません。
でないと、
「犬だから吠えるので、どうせ治らないだろう。」とあきらめたり、
「困らせようと悪気があって吠えてる。」と愛犬を恨んだり、
「吠えてはダメだとわからせなければ。」と叱ることに躍起になったり、
「私を守ろうとして吠えているにちがいない。」とちょっと嬉しくなったり(これはある意味良いのですが)して、
肝心な、インターホンという音に吠えるという困った行動は、変わらないままになってしまいます。
これでは、もったいない。
なぜ、もったいないかというと、インターホンに吠えるという困った行動は、犬に教えれば「本当」に治せるからです。
ただし治すためには、「何を教えるか」が、大事です。
犬がインターホンに吠えないように教える方法

愛犬がインターホンに吠えるという困った行動は、愛犬に教えることで治せます。
では、一体「何を教える」のでしょうか?
ここで思い出していただきたいのが、二つ目の章でお話ししたこと。
筆者のような犬の行動の専門家は、幼い頃から「とあること」を愛犬に教え、その結果、犬はほとんどインターホンに吠えなくなるとお話ししました。
この「とあること」とは、「関連性」、言い換えると「つながり」のことです。
インターホンが鳴ったときに、どの行動をすると、誰が褒めてくれて、美味しいご褒美おやつをくれたり、楽しいボール遊びをしてくれるのか、という、「つながり」です。
この「つながり」は、図に描くとわかりやすくなります。
図、インターホンに吠えない犬が学習しているつながり
インターホンが鳴る(音)
→吠えるのではなく、吠える以外の「とある行動」をする(行動)
→飼い主が心から褒めてくれる(良い結果)
→飼い主が美味しいおやつをくれる、
または、ボールを投げて楽しいボール遊びをしてくれる(良い結果)
「とある行動」の部分に、具体的な例を当てはめると、よりわかりやすくなります。
インターホンが鳴る(音)
→キッチンの冷蔵庫の前に行ってお座りする(行動)
→飼い主が心から褒めてくれる(良い結果)
→飼い主さんが冷蔵庫から、インターホンが鳴ったときにしかくれない大好物の犬用チーズを塗ったコングを出してくれる(良い結果)
肝心なのは、インターホンという、元々犬にとっては好きでも嫌いでもどちらでもなかった、つまりどうでもいい音に、どんな行動をつなげて愛犬に教えられるか。
そして、その行動をすると得られる、どんな素晴らしい結果を、愛犬につなげて教えられるか、ということなのです。
ですが、ここでひとつ疑問が湧いてきます。
「インターホンに吠えるうちの愛犬が、今学習しているつながりって、一体なんだろう?」
犬がインターホンに吠えるとき、どんな学習をしているのか

愛犬がもうすでにインターホンに爆吠えしている場合は、まず、今愛犬がインターホンとどんなことをつなげて学習しているかを把握する必要があります。
このつながりについても、図に描くとわかりやすくなります。
例えば、インターホンが鳴って愛犬が吠えると、飼い主さんが「ダメよ!静かに!」と言いながら、愛犬をハウスに入れようと追いかけているとします。この場合、愛犬が学習しているつながりは、下記のようになります。
例1のつながり図
インターホンが鳴る(音)
→爆吠えする(行動)
→飼い主から興奮した様子で「ダメよ!静かに!」と話しかけられる(結果)
→飼い主から追いかけられる(結果)
このつながりの場合はおそらく、飼い主さんから話しかけられることも、追いかけられることも、例えば鬼ごっこで遊んでもらっているというような「良い結果」として、愛犬に受けとめられている可能性が高いです。インターホンで吠えると、良い結果が得られるので、これではどんなに頑張っても、インターホンに吠えなくはなりません。
例えば、インターホンが鳴って愛犬が吠えると、インターホンに応答していた飼い主さんが吠え声に耐えかねて、愛犬に「静かに!」と言って、おやつを与えるとします。この場合、愛犬が学習しているつながりは下記のようになります。
例2のつながり図
インターホンが鳴る(音)
→爆吠えする(行動)
→飼い主から「静かに!」と話しかけられる(結果)
→おやつをもらえる(良い結果)
このつながりでは明らかに、インターホンに頑張ってうるさく吠えたから良い結果にありつけた、と犬は学習しています。恐ろしいことに、インターホンに頑張って吠えなさいと、飼い主さんは図らずも教えていることになっているのです。これでは本末転倒ですよね。(でも、こうなっているケースは実際とても多いんです。)
このように、愛犬がどう学習しているか、インターホンの音とどんな行動、そして結果をつなげて覚えてしまっているかを、つながりの図にしてみると、なぜ愛犬があんなにもインターホンに爆吠えするのか、その背景が見えてきます。
あなたの愛犬のつながりの図は描けましたか?
それは一体どんな図だったでしょう?
もしよければ、あじな動物病院行動セクションまで(※)、あなたの愛犬の図を送ってください。お待ち
しています。
犬がインターホンに吠える行動を本当に治すために必要なこと

ここまで、愛犬がインターホンに吠える困った行動を「本当に」治す方法について、愛犬が学習している「つながり」に焦点を当ててお話ししました。
内容を整理してみましょう。
インターホンは、もともと犬にとっては、何の意味もないただの音。
吠えるようになったのは、インターホンの音に、吠える行動と、その結果手に入る良い出来事をつなげて学習したから。
だから、インターホンが鳴ったら、吠えるのではなく、そのかわりにどんな行動をすれば良いかを、もっと良い結果とともに、つなげて学習しなおせるよう、愛犬に教えればいい、ということでした。
このつながりのことを、専門用語では、随伴 (Contingency)と呼びます。
動物の行動 (Behavior)は、その動物がこの随伴を学習した結果、変わる。
これを、行動変容 (Behavior Modification)と呼びます。
応用行動分析学 (Applied Behavior Analysis)と呼ばれる学問が、この体系を裏付けています。
いきなり専門的な内容になりましたが、要は、愛犬はわかるように教えさえすれば、その行動を自分で変えることができるんですよ。そして、それは科学的に証明されているので安心してください、ということです。
「そうか、うちの愛犬、インターホンで吠えないようになるのか。」とホッとしていただけたら、嬉しいです。
ただ、愛犬が「これまで学習しているつながり」と「これから教えるつながり」を、飼い主さんがひとりで解き明かして整理して、設計して、教えるのは、なかなか大変ですから、飼い主さんに代わって、この作業を的確に行う、犬の行動の専門家が案内するレッスンがあるわけです。
犬がインターホンに吠えないようになるために大切な体と心の健康

インターホンに吠えていた愛犬が、インターホンに吠えず、その代わりに、例えば冷蔵庫の前にお座りするようになる。
吠えずにお座りしたことを、あなたが心から褒め、ご褒美として、とびきり美味しいおやつをあげたり、とびきり楽しい遊びをしてあげたりする。そうして、愛犬の行動が変わる。これが、インターホンに吠える愛犬を治すというプロセスでした。
加えて、もうひとつ。
この愛犬の学習プロセスがよりスムーズに進むために、ぜひ飼い主のあなたに知ってほしいことがあります。
愛犬がスムーズに学習できるためには、大事なことが2つ。
ひとつは、体が健康であること。もうひとつは、心が健康であることです。
体が健康であることとは、痛いところや痒いところ、不調などが、日常的にないこと。そして、その犬に必要な食事が十分にとれているということです。
心が健康であることとは、強く怖いことや不安なことが、日常的にないこと。そして、犬として生まれながらに持っている欲求「○○したい」(例、においを嗅ぎたい)がある程度満たされていること、つまり、日常的に強い欲求不満を抱えていないことです。
この体と心の健康が守られていてこその、学習です。
これは私たち人間と同じです。これまでご自分が経験されたことで、想像してみてください。
悩み事もあって、お腹も痛い。そんな日に学校で椅子に座って授業を受けても、何も頭に入ってきませんよね。
犬も同じです。
愛犬にインターホンに吠えなくなるよう教える前に、体の健康と、適切な食事、そして欲求が満たせているかを、ぜひ振り返ってみてくださいね。
犬がインターホンに吠える悩みはレッスンで治せる

愛犬がインターホンに吠えるときはどうしたらいい?
このお悩みに、今すぐできること、そして、今から愛犬に教えていくことの順で、ご回答してきました。
愛犬に今から教えていくこととは、「つながり」でした。
いかがでしたか?
本コラムを読んで、「なるほど、それなら治せそう!」と希望を持っていただけたなら、行動セクションの先生冥利に尽きます。
でも、「やることがたくさんあって大変そう…」と心配になられた飼い主さんも、いらっしゃるかと思います。
飼い主さんはおひとりおひとり、みなさん、愛犬も事情もお気持ちも異なります。
ですから、そのおひとりに向けて、あじな動物病院行動セクションのレッスンはあります。
ようこそ。
ここは愛犬の「本当」に出会える場所
あじな動物病院行動セクションです。

あじな動物病院行動セクション代表 中西薫
※愛犬のインターホンのつながりの図は、
あじな動物病院行動セクション公式LINEまでお送りください。
公式LINEは、こちらです。
▶ https://lin.ee/PaAmoUA
この記事を書いた人
中西薫
あじな動物病院行動セクション代表。
北海道大学獣医学部入学後、同大学を自主退学。「攻撃行動の治療家」を目指し、国内外で犬の行動について学ぶ。2014年、広島県廿日市市にあじな動物病院行動科を開設。
犬の行動(Behavior)を専門とし、一般にしつけやトレーニングと呼ばれる犬の教育を、行動の科学的解析と評価に基づき、行動形成トレーニング、行動療法トレーニング、行動治療としてレッスン現場で指導している。
あじな動物病院行動セクション 中西薫について
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「お散歩で出会う犬に急にガウガウして困ってしまう」
この飼い主さんから寄せられたご相談に、お散歩とお友達作りについての考え方、お散歩での練習の行い方を、Instagram投稿全三作にてお答えしています。
あじなで犬の行動の「本当」に出会う|ご質問によせて
「お散歩で他犬を見てガウガウしてしまう犬に、ご褒美おやつをあげながら、ガウガウしないですむように練習しているけれど、うまくいかない」
この飼い主さんから寄せられたご質問に、Instagram投稿前後編にてお答えしています















